病んで毒を吐く

というわけで、珍しく好天に恵まれた地元の天気をうらめしく思いながら、今日も過ごした訳。
で、暇すぎて、昨日後半からはなんとなく録画しておいたものを眺める。
そして、温厚なオイラとしては珍しく(はい、ここ重要!赤線しておいて)、毒を吐きたくなるものに出会った。
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話は長くなるが・・・
まず、つい先日放送のあった「コクリコ坂」を観た。うーん、実はジブリアニメ(親父)の中にひっそりあって、その柱を支えている一部である「毒」や「禍々しさ」といったものがさっぱりない。さわやか青春アニメなのだが、残るモノはない。まあ、悪くはないが。
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次に昔散々見た甲殻じゃなくて攻殻機動隊vol.1の最終回から6作。うーん、何度見てもよくできてる。人物の有り様や歴史がよく描かれているし、本筋から外れた単発のサイドストーリーの中に、しっかり最終話に繋がる伏線や必然性が隠されている。登場人物の理屈っぽい語り口もステキ。これなら30分1話に500円払ってもいいわ。
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そして今日見てしまったのが、少し前に録画していた「感染列島」。主演は妻夫木(彼が悪いわけではない、多分)。
多分今回罹患することがなければ、HDの容量が減ると共に、鑑賞することもなく消去されていたはずの「なんとなく」録ったもの。
まず、インフルエンザに罹っているときに観る映画じゃないというツッコミはご容赦いただいて・・・
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さて、パンデミック(感染爆発)パニック映画といえば、エボラをあつかった、ダスティン・ホフマン主演の「アウトブレイク」が有名だが、観始めて10分ほどで、そこでも使われていた、「罹患者の咳などの飛沫が空間を緩やかに漂って、他者の口に入る様子がスローモーションで」という手法が臆面もなく使われている。でもまあそこは許せる。途中までは突然原因不明の感染爆発に精一杯対応する医療機関の様子が、けっこうきちんと描かれていたから。
しかし中盤からはもうだめ。いろいろ観てみた批評サイトにも同様の事があったので、ここは箇条書きで。
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・罹患者と濃密接触にある医師(主人公)が気軽に外をふらふら。挙げ句の果てに海外にまで出て、ウイルスの出所を見つけて帰ってくるというはちゃめちゃさ。そんな人間を国外に出したら、日本は世界中からバッシングされるに決まってる。
・猫の手も借りたい事態なのに、なぜか決まって雨の降る野外に出て、主人公とヒロインが落ち着いて思い出語りをえんえん。
鳥インフルエンザのようにみせかけて、実は別の感染症だった、という設定にはだまされたが、そのウイルスを国の機関が検出出来ずに、
変な独立愚連隊みたいな医者が解き明かすとこ&鳥インフルのウイルスが最初から見つかってないのに解明に時間かかりすぎ。
・結局原因が、その大変な感染症が流行っているアジアの小国で治療活動に当たっていたのに、ナニを思ったか正月里帰りした医師が、そのことを家族に告げずにまたその国に戻り、その後その娘夫婦が発症した、というのもありえない。そんなアホな医者もいなければ、医者に「最近身近に海外渡航した人はありませんか」と言われて、すぐに応えず事態の解決を遅延させたその娘も何考えてる?まさに国賊
・その後の風景が描かれるとき、なんか常に東京のあちこちが燃えたり、煙が上がってたり、車がぶつかったままになってるんですけど。事件発生して数ヶ月して、そんなのが放置されているとしたら日本って終わってるよ。
鳥インフルが原因だと世間から揶揄された養鶏場の娘が、感情が高ぶる場面でやたらと「あー」と平板に叫ぶだけだし、首攣った父親見つけても「お父さん」とよびかけるだけで一向におろそうとしないわ、全くありそうにない演技。子役のせいではなくて、人選や演技指導に関わり、あきらかに監督の責任。
・端役にコメディアンが出ていて、真剣に演技しているのはいいんだけど、意味無し。無名だがきらりと光る演技をする俳優さんを登用した方が絶対いい。これも物語への感情移入を明らかに邪魔してる。
・終盤の主人公とヒロインの出会いと回想シーン。あまりにも薄っぺらくて、二人が思い合う気持ちがまったく真に迫らず、かえって気持ちが離れる。
・さして深い人物描写がないのに、登場人物を殺すことで泣かそう、というシーンが見え見えすぎる。思い入れの無い人物が死んでも心は揺さぶられないのよ。
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あげればきりがないが、これほど酷評したくなる映画も久しぶり。
こんなんで監督や脚本家ができるんなら、ダレだって映画なんて作れる、と思わせるほど。
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さらに数年前に、豚インフルエンザが流行るときにNHKが作った2部作の「パンデミック」、その第1夜でやった、三浦友和主演の1時間ドラマの方が100倍出来がいい。
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ムダに長く、2時間20分以上あったし。
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まあ、長く自分の中に眠っていた感情を味合わせてくれたと思えば、それもまた経験か・・・。
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などと怒っているうちに、インフルエンザはどこかに行ってしまった、みたい。
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あ、本当は今日の話題になるはずだった、ニューシューズ購入についてはまた後日書くことにする。